「口渇」という言葉を知ったのは、 たぶん誰かの文章か、医療系のサイトだったと思う。 読み方が分からず、しばらく眺めていた。
こうかつ。 口が渇く、という意味らしい。
言葉としては固いのに、 実際の感覚はとても身近だ。
朝起きたとき、 緊張したとき、 集中しすぎたとき、 水を飲み忘れたとき。
口の中が静かに乾いていくあの感じ。 誰にでもあるのに、 「口渇」と書かれると急に距離が生まれる。
言葉は不思議だ。 知っている感覚なのに、 知らない名前がついているだけで、 少しだけ自分の体を外側から見られるようになる。
「今日は口渇が強いな」 そう言葉にすると、 ただの不快感が、 ひとつの観察記録に変わる。
名前を知るだけで、 世界の輪郭が少し整う。 そんな小さな発見だった。

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