中枢性睡眠時無呼吸症候群という言葉には、 空気の通り道が塞がるのではなく、 呼吸を続けるための「指令」そのものが一瞬だけ止まる そんな静かな現象が含まれています。
眠りの中で、 身体は意識とは別のリズムで動いています。 心臓は淡々と鼓動し、 肺は静かに膨らんだり縮んだりし、 そのすべてが無意識の深いところで ゆっくりと続いていきます。
けれど、 そのリズムを整えている中枢が 夜のどこかでふっと沈黙すると、 呼吸は止まります。
空気が通れないのではなく、 「吸おう」という合図が届かない。
その沈黙は、 大きな音も、 苦しさの叫びもなく、 ただ静かに訪れます。
眠りの深いところで、 身体が世界とのつながりを ほんの一瞬だけ忘れてしまうような、 そんな感覚に近いのかもしれません。
呼吸が止まると、 身体はその異変に気づき、 眠りの底から浅いところへ引き戻されます。 本人は気づかないまま、 夜のあいだに何度も何度も その往復が繰り返される。
中枢性睡眠時無呼吸症候群とは、 眠りの奥で「身体の自動運転」が一瞬だけ外れる現象 なのだと思います。
その外れ方は、 どこか儚く、 どこか人間らしい弱さを含んでいて、 眠りというものが どれほど繊細なバランスの上に成り立っているかを そっと教えてくれます。
朝になって目を開けたとき、 眠ったはずなのに疲れが残っているのは、 夜のあいだに何度も “指令の沈黙”が訪れていたからかもしれません。
中枢性睡眠時無呼吸症候群とは、 意識と身体のあいだにある細い糸が 夜の深さの中でふっと緩む瞬間 なのだと感じます。

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