名古屋大学には、金融工学という名前の専攻はありません。 けれど、東海の穏やかな空気の中で積み重ねられてきた研究の層には、 金融工学の中身そのものが静かに息づいています。
応用数学、統計科学、情報科学、経営工学── 市場の揺らぎやリスクの構造を読み解くために必要な思考は、 工学研究科や情報学研究科の研究室で、 派手さとは無縁のまま、しかし確実に磨かれています。
最適化、確率モデル、データ解析、システム制御。 金融工学の核心に触れるテーマが、 名古屋大学らしい“堅実な数理”として積み上がっていく。 それは、専攻名としての金融工学が無くても、 この大学の中に確かに存在する営みです。
名古屋という都市の持つ産業的な実務感と、 国立大学らしい数理の誠実さが重なる場所で、 金融工学は名前を持たないまま、しかし確かな形を帯びていきます。
名古屋大学の金融工学とは、 存在しないという事実の奥で、 工学と情報科学が静かに重なり合い、 中部の地層のように堅牢な数理を育て続ける言葉なのかもしれません。

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