救急車に同乗する時間は、状況が大きく動いているのに、自分にはほとんど何もできないという独特の静けさがあります。サイレンの音、揺れる車内、隊員の短い指示。そのすべてが緊急なのに、同乗者の役割はただ“そばにいる”ことに集約されていく。
患者の手を軽く支えること。 必要な情報を隊員に伝えること。 呼びかけに応じて返事をすること。 そのどれもが大きな行動ではないのに、 患者にとっては心の支えになり、隊員にとっては判断の材料になる。
救急車の中では、心配や不安を表に出す余裕もなく、 ただ状況に身を預けるしかない。 けれど、その“預ける”という感覚の中に、 同乗者の存在が静かに寄り添っている。
救急車への同乗とは、 緊急の中で自分にできる最小の行為を積み重ね、 患者の時間にそっと寄り添うための短い旅なのだと思います。


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