褥瘡という漢字は、 まるで古い書物の中に出てきそうな、 重たくて読みにくい形をしています。
「褥(じょく)」は、 しとね・ふとん・敷物を意味する漢字。
「瘡(そう)」は、 きず・ただれを表す漢字。
つまり褥瘡とは、 “敷物の上で生まれる傷” という、とても静かで、 どこか物語のような意味を持っています。
長い時間、 同じ姿勢で横になっていると、 身体の重さが一点に集まり、 皮膚の下の血流がゆっくりと弱くなる。
その弱さは、 痛みとしてではなく、 まず“赤み”という小さな影として現れる。
褥瘡とは、 身体が「ここが少し苦しい」と 声を出さずに伝えているサイン なのだと思います。
その影は、 急に深くなるわけではなく、 日々の積み重ねの中で ゆっくりと形を変えていく。
皮膚が薄くなり、 その下の組織が押しつぶされ、 やがて小さな傷が生まれる。
褥瘡という現象は、 弱さではなく、 身体が長い時間を生きてきた証 でもあります。
動けない時間が続くとき、 身体は沈黙のまま、 少しずつ負担を抱えていく。
その沈黙に気づくことが、 人を支えるということの 最初の一歩なのかもしれません。
褥瘡という漢字が読みにくいのは、 その奥にある“静かな痛み”を 簡単に言葉にしてはいけない、 そんな深さを持っているからなのだと感じます。


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