看護師と准看護師。 どちらも医療や介護の現場で人の命を支える大切な職種ですが、 制度の中では明確に区別されています。 その境界線をつくっているのが、“准”という一文字です。
看護師は国家資格で、 医師の指示を受けながらも、自ら判断して看護を行うことができます。 教育課程も長く、 専門性の高い知識と技術を前提とした資格です。
一方で准看護師は、都道府県知事が免許を与える資格で、 医師や看護師の指示のもとで業務を行うことが定められています。 “准”という字には、 「正規のものに準ずる」「補助的に位置づけられる」という意味があり、 制度上の役割をそのまま表しています。
ただ、この“准”という言葉は、 決して能力の差や価値の差を示すものではありません。 むしろ、歴史の中で生まれた制度の名残です。 戦後の医療人材不足を補うために作られた資格で、 短期間で現場に人材を送り出すための仕組みとして始まりました。 そのため、教育年数や業務範囲に違いが生まれ、 “准”という区別が残っています。
現場では、看護師も准看護師も、 患者のために同じように手を動かし、 同じように寄り添い、 同じように命を支えています。 制度上の違いはあっても、 その姿勢に優劣はありません。
“准”という言葉は、 制度が人を分類するためにつけた静かなラベルです。 けれど、現場で働く人たちの思いは、 そのラベルを超えて広がっています。 看護とは、資格の名前ではなく、 人に向き合う姿勢そのものなのだと感じます。

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