介助用標準型車いすは、自分でこぐための大きなハンドリムがなく、後ろに立つ人の手で動くように設計されています。乗る人の意思と、押す人の動き。その二つが重なって、ひとつの移動が生まれる。車いすというより、二人でつくる移動のかたちに近いのかもしれません。
押す側は、段差や傾斜を読み取りながら、速度や方向を調整する。乗る側は、体を預けながら、周囲の景色や揺れの変化を感じ取る。どちらか一方だけでは成立しない、静かな共同作業のような時間が流れていきます。歩くよりもゆっくりで、電動よりも人の気配が残る。その“人の介在”が、この車いすの特徴です。
介助用標準型という名前には、特別ではないという響きがあります。でも、使う場面はいつも特別です。病院の廊下、外出先の段差、少し長い距離の移動。歩くことが難しいときに、移動そのものを諦めなくていいように、そっと背中を支えるための道具。
介助用標準型車いすとは、 移動の自由を、人の手を通して取り戻すための器具。 その静かな動きが、日常の行動範囲をやさしく広げてくれるのだと思います。

人気ブログランキング ブログパーツ