“呼吸の揺らぎに、人の名がそっと刻まれているということ”
チェーンストークス呼吸という言葉を聞くと、 どこか「鎖(chain)」を思わせる響きがあります。 けれど、その“チェーン”は金属の連なりではなく、 ひとりの医師の名前から生まれたものです。
19世紀、ジョン・チェーンという医師が、 呼吸のゆるやかな増減と停止を繰り返す現象を記録しました。 その後、ウィリアム・ストークスという医師が 同じ呼吸のリズムを丁寧に観察し、 二人の名がひとつに結ばれて、 この呼吸のパターンは「チェーンストークス」と呼ばれるようになりました。
鎖のように連なるわけではなく、 ただ、二人の医師のまなざしが ひとつの現象に重なっただけのこと。 けれど、その名前は今も医学の中に静かに残り、 呼吸の波を見つめる人たちの間で受け継がれています。
チェーンとは、 chain ではなく Cheyne。 呼吸の揺らぎに寄り添った、 ひとりの医師の名のことなのかもしれません。

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