チョコレートの銀紙には、 ただ包むためだけではない、 どこか“儀式のような静けさ”があるように感じます。
指先でつまむと、 かすかに音を立ててしわが寄り、 光を細かく散らしながら形を変えていきます。 その瞬間、甘さがまだ姿を見せていないのに、 もうすでにチョコレートの気配が立ち上がってくるようです。
銀紙はとても薄いのに、 中にあるチョコレートをしっかり守っています。 温度、湿気、空気。 そうした外の世界から、 甘さの輪郭をそっと隔てているのだと思います。
開くときの“カサッ”という音は、 味よりも先に記憶に触れる音です。 子どものころに食べた板チョコ、 誰かからもらった一粒のチョコ、 夜中にこっそり開けた小さなご褒美。 銀紙の音は、そのすべてを呼び戻してくれます。
食べ終わったあと、 丸められた銀紙が手のひらに残ることがあります。 それは、甘さの余韻が形になったような、 小さな光のかたまりです。 捨てる前に一度だけ見つめてしまうのは、 その光に、食べ終わった瞬間の満足が まだ少しだけ残っているからかもしれません。
チョコレートの銀紙とは、 甘さを包むための素材でありながら、 甘さの記憶をそっと閉じ込める薄い光なのだと思います。


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