鼻カニューレという道具は、 とても細くて、軽くて、 まるで空気そのものを形にしたような存在です。
鼻にそっと差し込むだけで、 必要な酸素がゆっくりと身体に届いていきます。 マスクのように顔を覆うわけでもなく、 機械のような重々しさもありません。 ただ、静かに、控えめに、 呼吸を支えてくれる。
呼吸が少し苦しいとき、 人は自分の力だけでは 十分な空気を取り込めなくなることがあります。 そんなとき、 鼻カニューレは“もう少しだけ”を補ってくれる存在です。
細いチューブの先から流れる酸素は、 目には見えません。 けれど、 胸の動きが少し楽になり、 息が深く入っていくと、 その見えない支えの大きさに気づきます。
鼻カニューレは、 大げさな治療ではなく、 生活の中にそっと溶け込む医療です。 つけたまま会話もできるし、 食事もできる。 日常を保ちながら、 呼吸だけを静かに助けてくれる。
医療の道具には、 冷たさや緊張感がつきまとうことが多いですが、 鼻カニューレにはどこか“やさしい風”のような気配があります。

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