普通型電動車いすに乗ると、移動という行為の質が少し変わります。歩くときのような体のリズムはなく、代わりに指先のわずかな操作が、進む・止まる・曲がるといった動きをつくっていく。身体の力ではなく、機械の動きに自分の意思を重ねるような感覚が生まれます。
電動車いすは、速度が一定で、段差や傾斜に対しても安定している。歩くときのように「疲れ」を基準にしなくていい。移動距離の感覚が変わり、行ける場所の範囲が静かに広がっていく。自分の体の限界ではなく、バッテリーの残量が“今日の行動範囲”を決めるという構造も、どこか新しい。
普通型という名前には、特別ではないという響きがあります。けれど、使う人にとっては、日常の輪郭を取り戻すための大切な道具です。歩くことが難しくなったとき、移動そのものを諦めなくていい。自分のペースで、行きたい場所へ向かうための静かな選択肢。
普通型電動車いすとは、 身体の代わりに“移動の自由”を支えるための機械。 その静かな動きが、日常の行動範囲をそっと広げてくれるのだと思います。

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