良性発作性頭位めまい症という名前には、 どこか“身体の中の小さな粒が、夜の静けさの中で転がる”ような そんな印象があります。
朝、布団から起き上がるとき。 横を向いた瞬間。 上を見上げたとき。 ほんの少し頭の角度を変えただけで、 世界がふっと回り始める。
その回転は、 大きな音もなく、 痛みもなく、 ただ静かに、 視界の端からじわりと広がっていく。
良性発作性頭位めまい症とは、 耳の奥にある小さな結晶が、 本来の場所から少しだけ外れてしまうことで起きる “静かな揺れ” なのだと思います。
その揺れは、 嵐のように激しいわけではなく、 むしろ“ゆっくりとした回転”として訪れる。
身体はその揺れを止めようとして、 目を閉じたり、 呼吸を整えたり、 動きを止めたりする。
けれど、 揺れはしばらく続き、 やがて静かに収まっていく。
良性発作性頭位めまい症とは、 身体の中の小さなバランスが 一瞬だけ乱れたときに生まれる風景 なのかもしれません。
その風景は、 不安を含みながらも、 どこか人間らしい脆さと、 身体が持つ繊細な仕組みを そっと映し出しています。
世界が回るのではなく、 身体の奥の小さな粒が ほんの少しだけ動いただけ。
そう思うと、 めまいという現象が 少しだけ違う表情を見せてくれる気がします。
HR