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損切りしたのは、私ではありません。

Articles(FXの軽い話)
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取引画面を眺めていた時間は、いつもより静かでした。 落ち着いていると錯覚していたのは、心が凍っていたからなのかもしれません。 「あと少しで戻るはず」 そう思って、マウスに触れる手を止めていました。

でも、数字は待ってくれませんでした。 沈むグラフ、伸びる含み損。 私の中で、何かがゆっくりと崩れていきました。

「今切れば傷は浅い」 「でも、切れば負けを認めることになる」

この矛盾を、何度も反芻しました。 指は動かなかったはずなのに、 気づいたときには注文履歴に“損切り”の文字がありました。

「私は逃げたのか、守ったのか」 「これが正解なのか、ただの妥協なのか」

損切りは未来への保険と言われます。 ですが、その保険料がこんなにも重いとは、誰も教えてくれませんでした。

一人分の勇気が、足りなかったのです。 そしてあの日の決断も、 私ではなく“恐れ”が下したものでした。

画面に残ったのは、ただの数字ではありません。 その裏にある、“決断しなければならなかった孤独” それが、今もなお指先にまとわりついているのです。

HR


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